55歳のときに届いた「ねんきん定期便」を改めて見ていて、かなり大きな数字に目が止まりました。
これまでの保険料納付額、17,390,391円。
約1,739万円です。
33年間働いてきたので、それなりの金額になっているとは思っていましたが、1,700万円を超える数字を目の前にすると、やはりインパクトがあります。
一方、同じねんきん定期便に記載されていた65歳からの老齢年金見込額は、年間約246万円でした。
そこで素朴な疑問が浮かびます。
1,739万円払って、毎年246万円もらえるなら、7年くらいで元が取れるのでは?
65歳から受給するとすれば、72歳くらいです。
思ったより早い。
でも調べてみると、この計算をそのまま「年金の損益分岐点」と考えることはできません。
今回は、実際に私に届いたねんきん定期便の数字を使って、「年金は何歳で元が取れるのか?」を考えてみます。
※この記事は私自身のねんきん定期便をもとに考えたものです。年金制度や受給額は人によって異なります。制度については2026年7月時点の公的情報を確認しています。
ねんきん定期便を見たら保険料納付額は約1,739万円だった
私に届いた2025年度のねんきん定期便では、これまでの年金加入期間は34年4か月。
「これまでの保険料納付額」の合計は、
17,390,391円
でした。
約1,739万円です。
毎月給料から引かれていると、それほど意識しません。
しかし30年以上分を合計すると、かなりの金額になります。
そして同じ定期便には、65歳からの老齢年金見込額として、
年間約246万円
と記載されていました。
月額にすると約20万5,000円です。
そこで、まずは単純に割ってみます。
単純計算なら約7年で元が取れる?
| 項目 | 55歳時点 |
|---|---|
| 年金加入期間 | 34年4か月 |
| これまでの保険料納付額 | 約1,739万円 |
| 65歳からの年金見込額 | 年約246万円 |
| 単純計算 | 約7.1年 |
| 注意点 | 条件が異なるため厳密な損益分岐ではない |
計算は簡単です。
1,739万円 ÷ 246万円 ≒ 7.1年
65歳から年金を受け取り始めるとすると、単純計算では72歳ごろに、それまで自分が払った保険料と同程度の年金を受け取ることになります。
私はこの数字を見たとき、
「意外と早く元が取れるんだな」
と思いました。
72歳を超えて長生きすれば、その後は受け取る年金の方が多くなっていく。
そう考えると、公的年金はかなり有利な制度にも見えます。
しかし、この計算にはいくつもの問題があります。
「1,739万円払ったから、246万円を7年間もらえば元が取れる」
と単純には言えないのです。
「約7年で元が取れる」とは言えない理由① 事業主も保険料を負担している
まず知っておきたいのが、ねんきん定期便に表示される厚生年金保険料です。
日本年金機構によると、定期便に表示される厚生年金保険料は本人負担分で、事業主負担分は含まれていません。
厚生年金保険料は本人と事業主が折半しており、本人が負担した額とは別に、事業主も保険料を負担しています。
つまり、
「ねんきん定期便に1,739万円と書いてある=年金制度に全部で1,739万円しか入っていない」
という意味ではありません。
私の1,739万円には国民年金の期間も含まれているので、単純に全額を2倍すればよいわけではありませんが、少なくとも厚生年金部分については、本人負担とは別に事業主側の負担があります。
この時点で、
自分が払った金額 ÷ 老齢年金
だけで制度全体の収支を計算するのは難しいことがわかります。
理由② 1,739万円と246万円は、そもそも条件が違う
私はこれが一番大きなポイントだと思います。
約1,739万円は、ねんきん定期便作成時点までに実際に納めてきた保険料の累計額です。
ところが約246万円の方は、「そこまでに積み立てた分だけを使った年金額」ではありません。
50歳以上のねんきん定期便では、原則として現在加入している年金制度に、60歳まで同じ条件で加入し続けたと仮定した老齢年金の見込額が表示されます。
私が定期便を受け取ったのは55歳。
つまり約246万円という数字には、
その後も60歳まで働き続ける
という仮定が入っていました。
一方、私はその約4か月後、55歳で早期退職しました。
つまり、
55歳までの実際の保険料納付額
と、
60歳まで働くと仮定した将来の年金額
を割り算していたことになります。
これでは厳密な損益分岐点にはなりません。
50歳以上のねんきん定期便の見込額は、早期退職すると前提条件が変わります。私が55歳で受け取った定期便をもとに、こちらで詳しく整理しています。
→55歳のねんきん定期便を確認|早期退職したら年金見込額はどうなる?
理由③ 公的年金は「老後の積立貯金」ではない
もう一つ重要なのが、公的年金の性格です。
自分で積み立てた1,739万円を、65歳以降に取り崩して返してもらう制度ではありません。
公的年金には老齢年金だけでなく、一定の要件を満たせば障害年金や遺族年金という保障もあります。日本年金機構も、老齢・障害・遺族の各年金を公的年金の給付制度として案内しています。
つまり現役時代にも、
- 障害が残る状態になったとき
- 家族を残して亡くなったとき
- 長生きしたとき
などに備える社会保険としての役割があります。
国民年金についても、日本年金機構は老齢基礎年金という終身保障に加え、障害や遺族への保障があることを案内しています。
そう考えると、
「自分が払った保険料を何歳までに取り戻せるか」
だけで損得を判定すること自体に限界があります。
自動車保険に入って事故を起こさなかったから「保険料を損した」と単純には考えないのと、少し似ていると思います。
それでも「何歳で元が取れるか」を考える意味はある
では、損益分岐点を計算することに意味がないのか。
私はそうは思いません。
厳密な投資リターンの計算にはなりませんが、
「これまでどれくらい負担してきて、老後にはどれくらい受け取れるのか」
を知ることは、自分の老後を考える材料になります。
特に年金を、
60歳から繰り上げるのか
65歳から受け取るのか
さらに繰り下げるのか
を考える場合には、何歳まで生きると累計受給額が逆転するかは、一つの判断材料になります。
ただし私は、
損益分岐年齢だけで受給開始年齢を決めるべきではない
と考えています。
私は60歳から年金を繰り上げ受給する予定
私は現在55歳ですが、老齢年金は65歳まで待たず、60歳から繰り上げ受給する予定です。
繰り上げれば、一生受け取る年金額は減ります。
それでも私の場合は、
- 損益分岐年齢
- 税金
- 社会保険料
- 住民税非課税
- 60代で使えるお金の価値
- 投資
- インフレ
- 健康寿命
などを総合すると、60歳から受け取る方が自分には合っていると考えています。
「65歳まで待った方が年金額が多い」
という事実だけでは決めません。
いつ受け取るお金なのかも、私にとっては重要だからです。
私が60歳からの繰り上げ受給を考えている理由は、損益分岐だけでなく、税金・投資・インフレ・健康寿命まで含めて整理しています。
→年金は60歳から繰り上げる?「損益分岐81歳」だけで決めない7つの判断材料
55歳で早期退職した私の場合、年金額そのものも変わる
さらに私の場合は、ねんきん定期便を受け取った後に55歳で仕事を辞めています。
先ほど書いたように、50歳以上の定期便に記載された見込額は、原則として現在の条件で60歳まで加入するという仮定で計算されています。
だから、退職前の定期便に書かれた年間約246万円が、そのまま私の将来の年金額になるわけではありません。
早期退職を考えている人は、
定期便に書かれた金額だけを見て老後資金を計算しない
ことも大切だと思います。
私は早期退職を検討していたとき、加入していた共済組合に相談し、複数の退職年齢について年金見込額を試算してもらいました。
その数字がわかったことで、
「何歳で辞めれば、その後どの程度の年金になるのか」
を具体的に考えられるようになり、早期退職が一気に現実的になりました。
まとめ|年金の「元を取る年齢」は一つの数字では決められない
私の55歳時点のねんきん定期便には、
これまでの保険料納付額:約1,739万円
65歳からの老齢年金見込額:約246万円/年
と記載されていました。
単純に割れば約7.1年。
65歳から受給するとすれば、72歳ごろに約1,739万円を超えます。
しかし、これはあくまで単純計算です。
厚生年金には事業主負担があります。
約246万円という年金見込額も、当時の条件で60歳まで加入することを前提にした数字です。
さらに公的年金には、老齢年金だけでなく障害年金や遺族年金という社会保険としての役割があります。
だから私は、
「何歳になれば払った保険料を取り戻せるか」だけで年金の得・損を判断するのは難しい
と考えています。
それでも、ねんきん定期便をじっくり見ることで、
自分がこれまでいくら負担し、将来どの程度の年金を受け取れるのか
を具体的に考えるきっかけになりました。
1,700万円を超える数字を見たときは少し驚きましたが、33年間働いた時間が数字になって並んでいるようにも感じます。
これからは、「いくら増やすか」だけではなく、
その年金をいつ、どう使うか。
私はそちらを考えていきたいと思っています。


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