投資を始めたいけれど、何を買えばよいのか分からない。
私も投資を始めたころは、個別株、投資信託、FX、不動産など、選択肢が多すぎて迷いました。
そのうえ、「短期間で大きくもうかる」といった情報も目に入ります。
しかし、2009年から投資を続け、55歳で公務員を早期退職した今、投資初心者に伝えたい結論はとても単純です。
初心者は、低コストの全世界株式インデックスファンドを、無理のない金額で長期間保有することから始める。
これが、一般の人にとって最も続けやすい資産形成の方法の一つだと考えています。
実際に私は、2020年3月に公開した記事でも全世界株式への長期分散投資をすすめました。
その約6年後、当時紹介して私自身が保有を続けた投資信託3本は、特定口座ですべて含み益が100%を超えました。
ただし、将来も同じように値上がりする保証はありません。
この記事では、投資初心者が何から始めればよいのかを、私自身の失敗と約17年間の投資経験をもとに解説します。
※この記事は、私たち夫婦の投資経験と考え方を紹介するものです。特定の金融商品について、購入や売却を勧めるものではありません。投資には元本割れの可能性があります。
投資を始める前に生活資金を確保する
投資商品を選ぶ前に、最初に確認すべきことがあります。
それは、当面の生活に必要なお金を確保できているかどうかです。
株式や投資信託は、必要になったときに値下がりしている可能性があります。
生活費、税金、車検、住宅修繕などに使うお金まで投資してしまうと、相場が下落したときに安い価格で売却しなければならなくなるかもしれません。
必要な現金の額は、収入の安定性、家族構成、持ち家か賃貸かなどによって異なります。
一つの目安として、少なくとも数か月から半年程度の生活費は、普通預金などすぐに使える形で確保しておいたほうが安心です。
近いうちに使う予定があるお金も、投資には回しません。
- 日常生活費
- 税金や社会保険料
- 車検や自動車税
- 住宅の修繕費
- 数年以内に使う予定のお金
- 病気や事故に備えるお金
こうした資金を確保したうえで、当面使う予定のない余裕資金から投資を始めます。
初心者が個別株で利益を出し続けるのは難しい
株式投資と聞くと、将来値上がりしそうな会社を探し、その会社の株を買う方法を思い浮かべる人が多いと思います。
しかし、一つの会社の将来を正確に予想するのは簡単ではありません。
有名企業や業績のよい企業でも、不祥事、競争環境の変化、技術革新、景気後退などによって、株価が大きく下落する可能性があります。
最悪の場合、会社が倒産して株の価値がほとんどなくなることもあります。
私自身も、投資を始めたころに個別株を購入し、23万円の損失を出しました。
この失敗については、次の記事で詳しく紹介しています。
【失敗したくない初心者向け】はじめての株式投資で23万円損失を出した体験談
個別株への投資が悪いという意味ではありません。
企業を調べ、適正な価格を考え、値下がりしても保有できる人には、有力な選択肢になります。
ただし、投資を始めたばかりの人が、いきなり資産の大部分を一つの会社へ投資する方法はおすすめできません。
投資先を分散すると一社への依存を減らせる
投資には「卵を一つのかごに盛るな」という有名な格言があります。
一つのかごを落とせば、すべての卵が割れてしまいます。
複数のかごへ分けておけば、一つを落としても、ほかの卵は残ります。
投資も同じです。
一つの会社だけでなく、複数の会社へ投資すれば、一社の業績悪化や倒産から受ける影響を小さくできます。
さらに、日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、新興国など、複数の国や地域へ投資すれば、一つの国の景気や政策に依存する割合も下げられます。
これが分散投資です。

分散すれば損をしないわけではありません。世界中の株価が同時に下落することもあります。
それでも、一つの会社や一つの国へ集中するより、特定の対象に依存する危険を減らすことができます。
全世界株式なら1本で世界中へ分散できる
投資初心者が、世界中の会社の株を一社ずつ購入するのは現実的ではありません。
そこで利用できるのが、全世界株式に連動するインデックスファンドです。
全世界株式インデックスファンドを1本購入するだけで、日本、アメリカ、ヨーロッパ、新興国など、世界中の多数の企業へまとめて投資できます。
どの国や企業が今後大きく成長するのかを、自分で予想する必要もありません。
成長して市場での存在感が大きくなった国や企業は、指数の中で占める割合も大きくなります。
反対に、衰退した企業の割合は小さくなっていきます。
世界経済が長期的に成長すれば、その成長を広く取り込める仕組みです。
もちろん、世界経済が成長し続ける保証はありません。
戦争、感染症、金融危機、自然災害などによって、世界の株式市場全体が大きく下落する可能性もあります。
全世界株式は「安全で損をしない商品」ではありません。
それでも、特定の会社や国を自分で当て続けなくてもよい点は、投資初心者にとって大きな利点です。
インデックスファンドとは何か
インデックスとは、市場全体の値動きを表す指数です。
日本の日経平均株価やTOPIX、アメリカのS&P500などが知られています。
インデックスファンドは、こうした指数と同じような値動きを目指して運用される投資信託です。
市場平均を大きく上回ることを狙うのではなく、指数全体へ低いコストで投資することを目的としています。
投資の専門家が積極的に銘柄を選ぶアクティブファンドに比べ、一般的に運用コストを低く抑えやすい特徴があります。
ただし、同じような投資対象の商品でも、信託報酬などの費用には差があります。
長期間保有するほど、毎年差し引かれる費用の差が運用結果へ影響します。
投資信託を選ぶときに確認すること
投資初心者が投資信託を選ぶときは、ランキングや最近の値上がり率だけで決めないほうがよいと思います。
私は主に次の点を確認します。
投資対象
日本だけなのか、アメリカだけなのか、全世界なのかを確認します。
初心者が1本から始めるなら、日本を含む世界中の株式へ投資する商品が分かりやすいと思います。
運用方法
市場の指数へ連動するインデックスファンドか、運用担当者が銘柄を選ぶアクティブファンドかを確認します。
私は、低コストで仕組みが分かりやすいインデックスファンドを中心にしています。
信託報酬などの費用
投資信託の保有中には、信託報酬などの費用がかかります。
購入手数料が無料でも、運用中の費用がまったくかからないわけではありません。
商品を比較するときは、信託報酬だけでなく、目論見書や運用報告書に記載された費用も確認します。
純資産総額と運用実績
純資産総額が極端に小さい商品や、設定されたばかりの商品は、今後の運用状況を確認する必要があります。
ただし、過去の値上がり率が高いという理由だけで選んではいけません。
過去の運用成績は、将来の利益を保証するものではないからです。
NISAの対象商品か
長期的な資産形成を目的とするなら、NISAを利用できるかも確認します。
NISA口座で得た売却益や分配金は、一定の条件のもとで非課税になります。
全世界株式の代表的な商品
全世界株式へ投資する代表的な商品として、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)があります。
通称「オルカン」と呼ばれる投資信託です。
日本を含む先進国や新興国の株式へ、1本で分散投資できます。
私はオルカンを長期間保有し、現在も資産運用の中心にしています。
ほかにも、楽天・全世界株式インデックス・ファンドなど、世界中の株式へ投資する商品があります。
日本株を別に保有している人には、eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)という選択肢もあります。
値動きを少し抑えたい場合は、株式だけでなく、債券や不動産投資信託なども組み入れたバランス型投資信託も候補になります。
ただし、似た商品を何本も買う必要はありません。
オルカンとS&P500の両方を保有すると、分散が大きく増えるというより、オルカンにも多く含まれるアメリカ株の割合をさらに増やすことになります。
複数の商品を保有するときは、商品数ではなく、実際に何へ投資しているのかを確認することが大切です。
2020年に紹介した投資信託を6年間保有した結果
私は2020年3月に公開した別の記事で、全世界株式など4本の投資信託を紹介しました。
その約6年後、私が特定口座で保有している3本の含み損益率を確認すると、次のようになっていました。
| 投資信託 | 含み損益率 |
|---|---|
| eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | +124.90% |
| eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) | +171.17% |
| eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | +112.64% |

3本とも、評価額が取得金額の2倍以上になりました。
詳しい運用結果は、次の記事で公開しています。
2020年におすすめした投資信託は6年後どうなった?3本が含み益100%超
これは、今後も同じ利益が得られるという意味ではありません。
2020年以降の株価上昇や円安も、運用結果へ大きく影響しています。
ただ、低コストの商品を選び、世界中へ分散し、値下がりしても売らずに保有を続けるという方針は、私の資産形成で大きな役割を果たしました。
NISAを使って少額から始める
2024年から始まったNISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。
2026年現在、18歳以上の場合の主な内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| つみたて投資枠 | 年間120万円 |
| 成長投資枠 | 年間240万円 |
| 年間投資枠の合計 | 最大360万円 |
| 非課税保有限度額 | 合計1,800万円 |
| うち成長投資枠の上限 | 1,200万円 |
| つみたて投資枠の対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
| 成長投資枠の対象商品 | 上場株式・投資信託など |
ただし、上限まで投資しなければならないわけではありません。
年間360万円を投資できないからといって、NISAを利用する意味がないわけでもありません。
証券会社によっては、投資信託を少額から積み立てられます。
最初は月1,000円や月5,000円など、値下がりしても生活に影響しない金額から始めてもよいと思います。
大切なのは、上限を埋めることではなく、長期間無理なく続けることです。
NISAの制度や対象商品は変更される可能性があります。利用前には金融庁や証券会社の最新情報を確認してください。
一括投資と積立投資のどちらがよいか
まとまった余裕資金がある場合、一度に投資する方法と、複数回に分けて積み立てる方法があります。
どちらが必ず正しいとは言えません。
株価がその後上昇すれば、早く投資したほうが有利になります。
反対に、投資直後に大きく下落すれば、複数回に分けたほうが精神的な負担を抑えられます。
投資初心者が大きな金額を一度に投資すると、その直後の値下がりに耐えられず、売却してしまう可能性があります。
私は、まず無理のない金額で積立投資を経験することをおすすめします。
実際に価格が上がったり下がったりする経験を重ね、自分がどの程度の値下がりに耐えられるのかを知るためです。
投資信託も大きく値下がりする
全世界株式へ分散しても、元本は保証されません。
市場環境によっては、評価額が30%、40%、場合によってはそれ以上下落する可能性もあります。
100万円を投資した直後に70万円や60万円になっても、生活に困らず保有を続けられるでしょうか。
不安で眠れなくなるような金額を投資しているなら、投資額が自分の許容範囲を超えている可能性があります。
相場が好調なときには、自分は値下がりに耐えられると思いがちです。
しかし、本当のリスク許容度は、実際に大きな含み損を経験しなければ分かりません。
投資額は、期待できる利益ではなく、耐えられる損失から考えることが大切です。
初心者が避けたほうがよい投資
私の経験上、投資初心者は次のような行動を避けたほうがよいと思います。
- 生活費や借りたお金で投資する
- SNSで話題の商品へすぐ飛びつく
- 最近値上がりしたという理由だけで買う
- 一つの会社や国へ全額を集中する
- 高い利益を保証するという話を信じる
- 商品の仕組みを理解せずに購入する
- 値下がりするたびに売買を繰り返す
- 手数料や信託報酬を確認しない
- NISAの枠を埋めること自体を目的にする
特に、「必ずもうかる」「元本保証で高利回り」といった説明には注意が必要です。
高い利益が期待できる投資には、通常、それに応じたリスクがあります。
理解できない商品には投資しないことも、立派な投資判断です。
55歳でFIREして分かった長期投資の意味
私は2009年から投資を始め、33年間勤めた公務員を55歳で早期退職しました。
FIREできたのは、投資だけのおかげではありません。
長年働いて得た給与、貯蓄、住宅ローンの完済、固定費の管理、退職金、そして投資による利益が合わさった結果です。
それでも、余裕資金を長期間運用してきたことは、FIREに向けた資産形成で大きな役割を果たしました。
長期投資は、短期間で人生を逆転させる方法ではありません。
仕事を続けながら少しずつ資産を積み上げ、将来の選択肢を増やす方法です。
私の場合、その選択肢が55歳での早期退職につながりました。
現在は、資産を増やし続けることだけを目的にしていません。
旅行や趣味を楽しみ、妻との時間を増やすため、必要に応じて資産を計画的に使っていくつもりです。
まとめ|初心者は全世界への長期分散投資から始める
投資初心者が何に投資すればよいか迷ったとき、私は低コストの全世界株式インデックスファンドを候補にするのが分かりやすいと考えています。
理由は次のとおりです。
- 1本で世界中の多数の企業へ分散できる
- 将来成長する国や企業を自分で予想しなくてよい
- 少額から積み立てられる
- 低コストの商品を選べる
- NISAを利用できる商品がある
- 忙しい人でも続けやすい
ただし、全世界株式でも大きく値下がりすることがあります。
生活資金を確保し、当面使う予定のない余裕資金で、無理のない金額から始めることが重要です。
短期間で大きくもうけようとせず、値下がりしても生活に困らない仕組みを作り、長期間保有する。
これが、約17年間投資を続け、55歳でFIREした私が、これから投資を始める人へ伝えたい基本です。