FIREした後は、毎月の生活費だけを考えておけばよい。
退職する前の私は、なんとなくそう考えていました。
しかし、55歳で33年間勤めた公務員を早期退職してみると、最初の3か月に使った金額は、合計2,680,647円になりました。
月平均にすると約89万円です。
ただし、毎月90万円近く使う生活をしているわけではありません。
退職直後には、健康保険料や国民年金、住民税などの大きな支払いが集中します。私は任意継続健康保険料と夫婦2人分の国民年金を1年分まとめて前納したため、それだけで約96万円になりました。
さらに、固定資産税、車2台分の税金と車検、旅行のホテル代や航空券なども同じ3か月に重なりました。
この記事では、2026年3月末に退職した私が、その後の3か月に実際に使った2,680,647円の主な内訳を、実際の家計記録をもとに公開します。
これから早期退職やFIREを考えている方が、退職直後に必要な現金を準備するための参考になれば幸いです。
※税金や社会保険料は、退職前の収入、家族構成、自治体、加入する健康保険などによって異なります。この記事で紹介する金額は、私たち夫婦の実例です。
FIRE後3か月の支出は2,680,647円
2026年4月から6月までの3か月間に使った金額は、合計2,680,647円でした。
私は2016年から毎月、銀行口座の残高と支出額、大きな支出の内容を記録しています。今回は記憶や概算ではなく、その家計記録をもとに集計しました。
まずは、3か月の支出を月別に紹介します。
| 記録日 | 使用額 |
|---|---|
| 2026年4月15日 | 1,007,429円 |
| 2026年5月15日 | 622,022円 |
| 2026年6月16日 | 1,051,196円 |
| 合計 | 2,680,647円 |
4月と6月は、それぞれ100万円を超えています。
次に、268万円の使い道を大きく4つに分けました。
| 分類 | 金額 |
|---|---|
| 税金・社会保険料 | 1,284,840円 |
| 住宅・車関係 | 396,857円 |
| 旅行関係 | 654,844円 |
| その他の日常生活費など | 344,106円 |
| 合計 | 2,680,647円 |
最も大きかったのは、税金と社会保険料です。全支出の約48%を占めました。
ただし、健康保険料と国民年金は1年分をまとめて前納しています。そのため、この金額が毎月発生するわけではありません。
また、旅行関係にはUSJに長期滞在するためのホテル代だけでなく、退職後に予定している海外旅行の航空券も含まれています。
つまり、268万円すべてが退職によって仕方なく発生した支出ではありません。
退職後に必要となった支払いと、自由な時間を楽しむために自分の意思で使ったお金が、同じ時期に重なった結果です。
税金・社会保険料は3か月で1,284,840円
最も大きかったのが、退職に伴って自分で支払うことになった税金と社会保険料です。
| 内容 | 支払額 |
|---|---|
| 任意継続健康保険料 | 535,920円 |
| 国民年金(夫婦2人分) | 423,720円 |
| 住民税 | 325,200円 |
| 合計 | 1,284,840円 |
3か月の総支出2,680,647円のうち、約48%を占めています。
任意継続健康保険料は535,920円
退職後の健康保険には、主にそれまで加入していた健康保険を任意継続する方法と、国民健康保険へ加入する方法があります。
私は両者を比較したうえで、任意継続を選びました。
実際に支払った保険料は、1年分で535,920円です。1か月当たりに換算すると44,660円になります。
勤務中は給与から天引きされていたため、健康保険料だけを強く意識することはありませんでした。しかし、退職後に1年分をまとめて支払うと、その大きさを実感します。
どちらが安くなるかは、退職前の収入、家族構成、自治体などによって変わります。退職前に任意継続と国民健康保険の両方を試算しておくことが大切です。
私が公務員を早期退職する前後に行った、共済組合の任意継続と夫婦2人の国民年金の手続きは、別の記事で時系列にまとめています。
国民年金は夫婦2人分で423,720円
私は退職後、厚生年金から国民年金へ切り替えました。
また、私の扶養に入っていた妻も第3号被保険者ではなくなるため、夫婦2人とも国民年金保険料を支払う必要があります。
日本年金機構の会社を退職したときの国民年金の手続きが参考になります。
今回は夫婦2人分を1年分まとめて前納し、合計423,720円を支払いました。
退職する本人だけでなく、扶養されていた配偶者の国民年金保険料も必要になる点は、夫婦でFIREを考える際に忘れてはいけない支出です。
住民税は325,200円
退職後は労働収入がなくなりましたが、住民税として325,200円を支払いました。
住民税は、現在の収入ではなく前年の所得をもとに計算されます。
私は2026年3月末まで働いていたため、退職後に収入がなくなっても、前年の給与所得に対する住民税の支払いが発生しました。
収入が途絶えた後に30万円を超える納付書が届くため、準備していなければ大きな負担に感じると思います。
FIREや早期退職を予定している人は、退職後の生活費とは別に、翌年度の住民税を現金で確保しておいたほうが安心です。
約128万円すべてが3か月分の負担ではない
健康保険料と国民年金は、1年分をまとめて前納しています。
そのため、「退職すると3か月ごとに128万円必要になる」という意味ではありません。
ただし、退職直後の短期間にまとまった現金が必要になったことは事実です。
毎月の生活費だけを基準にFIREの資金計画を立てると、こうした年払いの支出を見落とす可能性があります。
住宅・車関係の支出は396,857円
税金や社会保険料の次に、持ち家と車に関する支払いが重なりました。
| 内容 | 支払額 |
|---|---|
| 固定資産税 | 55,800円 |
| 浄化槽関係 | 28,300円 |
| 自動車税(2台分) | 79,300円 |
| 車検(2台分) | 233,457円 |
| 合計 | 396,857円 |
これらは退職したから発生した支出ではありません。働いていても支払う必要があるものです。
しかし、退職直後で労働収入がなくなった時期に、税金や社会保険料と重なったため、支出額を大きく押し上げました。
持ち家でも住居費はゼロにならない
わが家は住宅ローンを完済しています。
そのため、毎月の住宅ローン返済や家賃はありません。それでも、固定資産税として55,800円、浄化槽関係の費用として28,300円を支払いました。
住宅ローンを完済すれば住居費が完全になくなるわけではありません。
固定資産税のほかにも、火災保険、設備の交換、外壁や屋根の修繕などが発生します。築年数が増えれば、大規模な修繕も必要になります。
FIRE後の支出を計算するときは、毎月の生活費だけでなく、持ち家を維持するための費用も考えておく必要があります。
車2台分の税金と車検で312,757円
わが家には車が2台あります。
この3か月には、自動車税79,300円に加え、偶然2台の車検が重なり、233,457円を支払いました。
合計すると、車関係だけで312,757円です。
地方で生活していると、車は移動や買い物、旅行、趣味などに欠かせません。一方で、車両の購入費だけでなく、税金、保険、車検、ガソリン、タイヤなどの維持費がかかります。
私は将来的には車を1台に減らすことも考えていますが、現在は夫婦それぞれの生活に必要なものとして2台を維持しています。
FIREの必要資金を計算するときは、車を持つかどうか、何台維持するかによって支出が大きく変わります。
定期的な大型支出を月割りで考える
固定資産税や自動車税、車検は、毎月同じ金額が出ていく支出ではありません。
そのため、通常の月だけを見ていると、実際より生活費を少なく見積もってしまいます。
毎月の支出とは別に、税金、車検、住宅修繕などの大型支出を年単位で見積もっておくことが重要です。
旅行関係の支出は654,844円
3か月の支出が大きくなったもう一つの理由が旅行です。
| 内容 | 支払額 |
|---|---|
| USJ長期滞在のホテル代 | 379,097円 |
| 海外旅行の航空券 | 275,747円 |
| 合計 | 654,844円 |
旅行関係だけで約65万円を使いました。3か月の総支出の約24%に当たります。
ただし、すべてがこの3か月間に行った旅行の現地支出ではありません。旅行前に、ホテルや航空券を予約して支払った金額も含まれています。
私の家計簿では、実際に旅行する日ではなく、代金を支払った月の支出として記録しています。
USJのホテル代は379,097円
私はUSJの年間パスを持っており、イベント期間には数日間連続でパークへ通います。
この3か月に支払ったUSJ長期滞在のホテル代は、合計379,097円でした。
FIRE後は平日に旅行できるため、混雑する大型連休や週末を避けやすくなりました。時間の自由があることで、同じ旅行でも費用を抑えられる場合があります。
一方で、時間が増えたからこそ旅行の日数も増えました。
安く旅行できるようになっても、何度も出かければ年間の旅行費は大きくなります。
2026年のUSJ夏イベントを8日間体験して分かった持ち物や暑さ対策については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
海外旅行の航空券は275,747円
この期間に、海外旅行の航空券として275,747円を支払いました。
航空券は旅行の数か月前に購入することが多いため、旅行していない月でも大きな支出が発生します。
働いていたころは、仕事の予定や長期休暇に合わせて旅行日程を決める必要がありました。しかし、退職後は航空券が安い日程に自分の予定を合わせられます。
これはFIREによって得られた大きなメリットです。
旅行費は浪費ではなくFIREの目的
旅行費の約65万円は、税金や社会保険料のように必ず支払わなければならないお金ではありません。
削ろうと思えば削れる支出です。
しかし、私がFIREした目的は、資産額をできるだけ減らさずに人生を終えることではありません。
元気なうちに旅行や趣味を楽しみ、働いていたころには難しかった体験に時間とお金を使うために退職しました。
そのため、旅行費は単なる浪費ではなく、自由な時間を楽しむために計画して使ったお金だと考えています。
旅行関係の支出を除くと、3か月の支出は2,025,803円になります。
それでも大きな金額ですが、268万円すべてが退職後の生活を維持するために必要だったわけではありません。
その他の日常生活費などは344,106円
税金、社会保険料、住宅、車、旅行に関する大きな支出を除くと、残った金額は344,106円でした。
3か月で割ると、1か月当たり約114,702円です。
ここには、食費、日用品、光熱費、通信費、ガソリン代、外食費、趣味など、個別に記録していない日常的な支出が含まれています。
わが家では住宅ローンの返済がなく、子どももいません。そのため、大きな臨時支出がない月の生活費は比較的安定しています。
今回の268万円という数字だけを見ると、毎月非常にぜいたくな生活をしているように見えるかもしれません。
しかし、実際には日常生活費が急増したわけではなく、1年分の税金や社会保険料、車検、旅行の予約費用などが短期間に集中したことが主な原因です。
FIRE後の生活費を考える際には、次の2つを分けて考える必要があります。
- 毎月繰り返し発生する生活費
- 税金、保険、車検、旅行など不定期に発生する支出
毎月の生活費だけを見ていると、年間の本当の支出額を少なく見積もってしまいます。
268万円支出しても資金計画に不安はなかった
退職後の3か月間は、給与などの労働収入がありませんでした。
家計簿で管理している預金残高は、支出した分だけ減っています。一方、投資資産を含めた総資産は、退職金を受け取った後と同程度の水準を維持しています。
安全上の理由から、総資産額や詳しい内訳は公開しません。
また、支出記録と資産記録では締め日が異なるため、今回の268万円と資産の増減を単純に比較することもできません。
それでも、大きな支払いが集中することは退職前から想定しており、すぐに使える資金を十分に準備していました。そのため、3か月で268万円を使っても、FIRE後の資金計画を変更する必要はありませんでした。
運用資産の値上がりは保証されない
退職後の資産額には、株式や投資信託などの値動きも影響します。
相場環境が良ければ、生活費を使っても総資産が増えることがあります。反対に、ほとんどお金を使っていなくても、株式市場の下落によって総資産が減ることもあります。
そのため、現在の評価額が増えているからといって、今後も同じ状態が続くとは考えていません。
相場が下落したときに、生活費のために慌てて投資資産を売らなくて済むよう、当面の支出に使うお金は預金や個人向け国債などで確保しています。
お金を減らさないことが目的ではない
私は資産を最大化するためにFIREしたわけではありません。
資産は、自由な時間や経験を得るための手段です。
健康で体力があるうちに旅行へ行き、趣味を楽しみ、妻との思い出を増やす。そのために必要なら、資産は計画的に使っていきたいと考えています。
3か月で268万円使ったという数字だけでなく、そのお金で何を得られたかも大切です。
退職前に準備しておくべきお金
今回の経験から、FIREや早期退職の準備では、毎月の生活費だけを計算しても不十分だと分かりました。
私の場合、退職後3か月に発生した税金・社会保険料と住宅・車関係の支出だけで、合計1,681,697円になりました。
| 分類 | 金額 |
|---|---|
| 税金・社会保険料 | 1,284,840円 |
| 住宅・車関係 | 396,857円 |
| 合計 | 1,681,697円 |
旅行費をまったく使わなかったとしても、退職直後に約168万円の支払いがあったことになります。
ただし、車検が2台同時に重なったことや、健康保険料と国民年金を1年分まとめて前納したことなど、わが家特有の事情も含まれています。
必要な金額は人によって異なりますが、退職前には少なくとも次の項目を確認しておく必要があります。
- 退職後に加入する健康保険の保険料
- 本人と配偶者の国民年金保険料
- 前年の所得に対して課税される住民税
- 固定資産税
- 自動車税、車検、任意保険
- 住宅設備の交換や修繕費
- 退職後に予定している旅行や趣味の費用
- 毎月の通常生活費
退職後1年分の支出を月ごとに並べる
年間支出を12で割って平均額を出すだけでなく、実際に何月に支払うのかまで確認しておくと安心です。
例えば、年間支出が同じ320万円でも、毎月ほぼ均等に約27万円を使う場合と、特定の月に100万円以上の支払いが集中する場合では、必要な現金の準備が異なります。
私は長年の家計記録があったため、固定資産税や自動車税、車検などが発生する時期をある程度予測できました。
FIREを考えている人は、退職前の1年間だけでも家計簿をつけ、大きな支出が発生する月と金額を確認しておくことをおすすめします。
投資資産とは別に当面使うお金を確保する
生活費のすべてを株式や投資信託で保有していると、相場が下落した時期にも売却しなければならない可能性があります。
そのため私は、当面の生活費や税金などに使う資金を、値動きの大きい投資資産とは分けて管理しています。
必要な金額に正解はありません。
年間生活費、年金を受け取り始める年齢、退職後の収入、資産配分などをもとに、自分が安心できる金額を準備することが大切だと思います。
FIRE後の毎日の過ごし方については、「55歳でFIREして3か月。リアルな1日を公開」で詳しく紹介しています。
まとめ|FIRE直後は生活費以外の支払いが集中する
55歳でFIREした最初の3か月に使った金額は、合計2,680,647円でした。
内訳は次のとおりです。
- 税金・社会保険料:1,284,840円
- 住宅・車関係:396,857円
- 旅行関係:654,844円
- その他の日常生活費など:344,106円
268万円という金額だけを見ると、FIRE後の生活には非常に多くのお金が必要に見えます。
しかし、健康保険料と夫婦2人分の国民年金は1年分を前納しています。車2台の車検や、後日の旅行に使うホテル代と航空券も同じ時期に重なりました。
通常の日常生活費が毎月90万円近くかかっているわけではありません。
退職直後に必要なのは、毎月の生活費だけではなく、税金、社会保険料、住宅、車などのまとまった支払いに備えることです。
一方で、旅行や趣味まで過度に削ってしまえば、何のためにFIREしたのか分からなくなります。
必要な支出に備えたうえで、元気なうちに経験へお金を使う。
それが、実際にFIRE生活を始めた私のお金に対する考え方です。


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