2026年3月、私は55歳で33年間勤めた公務員を早期退職しました。
転職するためではありません。
仕事ができなくなったわけでもありません。
定年まで働こうと思えば、働くこともできました。
それでも私は、55歳で仕事を辞めることを選びました。
理由を一言でいえば、
これ以上お金を増やすことより、自分の時間を自分で使うことの方が大切になったからです。
もちろん、仕事を辞めれば給料はなくなります。
「本当に辞めて大丈夫なのか」
「暇にならないか」
「あとで後悔しないか」
退職前には、私なりに何度も考えました。
それでも最終的には、
辞めるリスクより、辞めずに時間を失うリスクの方が大きい
と判断しました。
この記事では、私が55歳で33年間勤めた公務員を早期退職した理由と、実際に辞めて数か月たった今感じていることを書いてみます。
※これは早期退職を勧める記事ではありません。50代で退職を迷っている人向けに書いた、一人の元公務員の実体験です。
55歳で33年間勤めた公務員を早期退職した
私は大学卒業後、公務員として33年間働きました。
55歳まで働いたので、決して短い職業人生ではありません。
仕事を続けながら住宅ローンを返済し、生活費を管理し、長期間にわたって貯蓄や投資も続けてきました。
その結果、
「今仕事を辞めても、すぐ生活に困る状態ではない」
というところまで来ることができました。
そうなると、それまでとは考えることが変わってきます。
以前なら、
「あと何年働けば、いくら貯まるか」
を考えていました。
ところが50代になると、
「あと何年、元気に自由に動けるのか」
を考えるようになりました。
お金には後から増やせる可能性があります。
しかし、55歳の1年間は、過ぎてしまえば二度と戻ってきません。
そこから、私の中で「働き続けること」が当たり前ではなくなっていきました。
私が55歳で早期退職した5つの理由
1.お金より時間の価値が高くなった
若い頃は、お金を増やすことが重要でした。
家を買う。
生活を安定させる。
将来に備える。
そのためには働いて収入を得る必要があります。
しかし、ある程度生活の基盤ができると状況は変わります。
仮にあと数年間働けば、資産はさらに増えたでしょう。
でも、そのために使うのは55歳からの数年間です。
60歳になったとき、
「お金は増えた。でも55歳から60歳までの自由な時間はもう戻ってこない」
そう考えると、私にはあまり合理的に思えませんでした。
特に50代になると、健康で自由に動ける期間が永遠ではないことを意識します。
旅行に行くにも、山を歩くにも、釣りをするにも、体力が必要です。
だから私は、
お金を増やすために時間を使う段階から、これまで作ってきたお金を使って時間を得る段階に移ろう
と考えました。
2.定年まで働く理由がなくなった
私は「定年まで働くこと」が正しいとは思っていません。
反対に、早期退職が正しいとも思っていません。
大切なのは、
なぜ働くのか
だと思っています。
生活するために収入が必要なら働く必要があります。
仕事そのものが好きなら、働き続けるのも素晴らしいと思います。
しかし私の場合、仕事を続けなければ生活できない状態ではなくなりました。
住宅ローンもすでにありません。
毎月どのくらいのお金を使っているのかも把握しています。
私は過去10年間、毎月の支出を記録してきました。
10年間の総支出額は3,170万円、年間平均では317万円です。
長期間の実際の支出を把握していたことも、「仕事を辞めても生活できる」と判断する材料の一つになりました。
長年の貯蓄と投資によって、退職後の生活にもある程度の見通しが立っていました。
そうなると、
「定年だからそこまで働く」
という理由だけでは、自分の時間を差し出す根拠として弱くなりました。
仕事を辞めても生活できる。
それなら、
自分が本当にやりたい生活を始めてもいいのではないか。
そう考えるようになりました。
退職後のお金を考えるうえでは、年金を何歳から受け取るかも重要です。私は現在、老齢基礎年金と老齢厚生年金を60歳から繰り上げ受給する予定です。
[なぜ60歳から受給する予定なのか、損益分岐・税金・健康寿命など7つの判断材料はこちらにまとめました。]
3.やりたいことを「いつか」にしたくなかった
私は、退職したらやりたいことがたくさんありました。
旅行。
車中泊。
釣り。
登山。
USJ。
運動。
家庭菜園。
DIY。
読書。
そして今はブログを書くことにも夢中になっています。
やりたいことがないから仕事を続ける、という状態ではありませんでした。
むしろ逆です。
仕事以外にやりたいことが多すぎました。
旅行も、
「定年したら行こう」
と思っているうちに、体力が落ちるかもしれません。
健康状態が変わるかもしれません。
家族の状況が変わる可能性もあります。
将来何が起こるかは誰にも分かりません。
だから、
元気で、時間があり、やりたいことがある今こそ、その時間を使うべきではないか
と思いました。
「いつか」は必ず来るとは限りません。
これは早期退職を決めるうえで、とても大きな理由になりました。
4.自分の時間を自分で決めたかった
働いていると、どうしても時間の自由は制限されます。
何時に仕事へ行く。
何曜日に働く。
休暇を取る。
どこへ行く。
どれも完全に自分だけで決めることはできません。
もちろん、それが社会で働くということです。
33年間働いたので、それ自体を否定するつもりはありません。
ただ、私は次第に、
自分の時間を自分で決められる生活をしてみたい
と思うようになりました。
退職した今は、朝起きて天気がよければ庭仕事をすることもあります。
突然釣りに行くこともできます。
長期間旅行することもできます。
運動したければ運動する。
本を読みたければ読む。
ブログを書きたければ何時間でも書く。
予定を変えても、基本的には誰にも迷惑をかけません。
この自由は、想像していた以上に大きなものでした。
私にとって早期退職で手に入れた最大のものは、
「何もしなくていい時間」ではなく、「何をするか自分で決められる時間」
だったのだと思います。
5.やった後悔より、やらなかった後悔を避けたかった
早期退職を考えたとき、一番怖かったのは、
「辞めて後悔すること」
ではありませんでした。
私がもっと嫌だったのは、
辞めなかったことを後悔すること
でした。
60歳になって、
「55歳のとき辞められたのに、どうしてあと5年働いたのだろう」
と思う可能性があります。
もちろん逆に、
「辞めなければよかった」
と思う可能性もあります。
未来のことなので、どちらになるかは分かりません。
そこで私は、自分にとってどちらの後悔が大きいかを考えました。
私の場合は明らかでした。
自由になれる条件が整っていたのに、怖くて行動しなかった後悔の方が大きい。
だったら、やってみよう。
それが最終的な判断でした。
早期退職する前に不安だったこと
もちろん、不安がまったくなかったわけではありません。
まず大きいのは、お金です。
毎月入っていた給料がなくなります。
健康保険、年金、税金なども自分で考えなければなりません。
年金については、早期退職前に届いたねんきん定期便の見込額をそのまま使えるとは限りません。私は55歳で届いた定期便をもとに、早期退職すると年金見込額をどう考えればいいのか整理しました。
→【55歳のねんきん定期便を確認|早期退職したら年金見込額はどうなる?】
→【55歳で早期退職すると年金はいくら減る?53〜57歳の5パターンを実際に試算】
退職後、実際にどのくらいお金を使うのかも、やってみるまで分からない部分があります。
私は退職後3か月の支出を実際に集計しています。
→【55歳でFIREした最初の3か月に268万円使った|退職後の税金・保険・旅行費を実額公開】
また、
「毎日暇になるのではないか」
という不安もありました。
33年間、平日の大部分を仕事に使っていたわけです。
それが突然ゼロになります。
しかし実際に退職してみると、私の場合は暇ではあっても、退屈ではありませんでした。
旅行、運動、庭仕事、釣り、家事、ブログなど、やることはいくらでもあります。
退職後の実際の1日についてはこちらに詳しく書いています。
→【【実録】55歳でFIREして3か月。毎日は何をして過ごしている?リアルな1日を公開】
退職直後には健康保険や年金など、さまざまな手続きも必要でした。
→【55歳の公務員が早期退職前後にした手続き|任意継続と国民年金を実体験で解説】
実際に55歳で退職して後悔しているか
退職して数か月。
今のところ、
早期退職したことを後悔していません。
むしろ、
「もっと早くてもよかったのではないか」
と思うことさえあります。
ただし、これは私の場合です。
早期退職して幸せになれるかどうかは、人によってまったく違うと思います。
お金の状況。
家族。
仕事への思い。
趣味。
健康。
退職後に何をしたいのか。
条件が違えば答えも違います。
特に、仕事以外にやりたいことが何もない状態で退職すると、私とは違った感想になるかもしれません。
私は退職前から、仕事以外にやりたいことがたくさんありました。
だから仕事を辞めたことで人生から何かがなくなったというより、
これまで時間が足りなくてできなかったことを始められるようになった
という感覚の方が強いです。
早期退職は「働かなくなること」ではなかった
退職する前は、
「仕事を辞めたら、毎日何をするのだろう」
と思うこともありました。
でも今は、むしろ以前より集中して何かをしている時間があります。
その一つが、このブログです。
誰かにやれと言われたわけではありません。
何時から何時までやるという決まりもありません。
それでも、気が付けば何時間も作業していることがあります。
公務員時代とは違った意味で、今も私は働いているのかもしれません。
ただし、今やっていることは、
自分で選んだことです。
やる時間も自分で決められる。
やめる時間も自分で決められる。
お金のためだけではなく、自分が面白いと思うからやる。
早期退職して初めて、
「仕事」と「労働」は同じものではないのかもしれない
と感じるようになりました。
55歳で早期退職して思うこと
私は早期退職を誰にでも勧めたいとは思いません。
仕事が好きな人もいます。
定年まで働きたい人もいます。
働くことで社会とつながっていたい人もいます。
それでいいと思います。
ただ、
「みんな定年まで働くから」
という理由だけで、自分も同じ道を選ぶ必要はないとも思っています。
自分は何のために働いているのか。
いくらあれば十分なのか。
残りの人生で何をしたいのか。
その答えは人によって違います。
私の場合は55歳になったとき、
これ以上お金を増やし続けることより、自分の時間を自分で決められることの方が大切になりました。
だから33年間勤めた公務員を辞めました。
退職して数か月。
平日の朝から釣りに行ったり、旅行をしたり、庭仕事をしたり、運動したり、ブログを書いたりしています。
明日何をするかも、自分で決められます。
私は今、この生活をとても気に入っています。
55歳で退職したことが正しかったのか。
その答えが本当に分かるのは、もっと先なのかもしれません。
それでも今は、
あのとき辞める決断をしてよかった。
そう思っています。


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