源流釣りの持ち物は、増やせば安心です。しかし、増やした分だけザックは重くなります。
今回、私は2泊3日の源流釣行で、総重量11.3kgの装備を背負って山に入りました。
1日目は車止めからテン場まで7時間。2日目は釣りながら遡行してテン場まで戻り10時間。3日目はテン場から車止めまで7時間。
3日間で約24時間行動したことになります。
これだけ長時間ザックを背負うとなると、1gでも軽くしたくなります。そこで今回は「なくても何とかなるだろう」と考え、いくつかの装備を削りました。
ところが実際に山へ入ってみると、
「これは削ってはいけなかった」
と後悔したものがありました。
反対に、多少重くても「やっぱり持ってきて正解だった」と感じた装備もあります。
この記事では、2泊3日の源流釣りを実際に経験して分かった、
- 実際に持っていった装備
- 重くても持っていってよかったもの
- 持っていかず後悔したもの
- どこまで軽量化するべきか
を紹介します。
単なる「源流釣りのおすすめ持ち物一覧」ではなく、実際に約24時間背負って歩いた結果として、「その重さに見合う装備だったのか」という視点でまとめます。
2泊3日の源流釣りで実際に持っていった装備

今回の装備は合計で約11.3kgでした。
主な持ち物は次の通りです。
釣り具
- 竿
- 予備の竿
- 1号ライン
- 0.3号ライン
- 目印
- 3号ガン玉
- Bガン玉
- 小型の針
- 大型の針
- たも網
今回は同行者に合わせて餌釣りだけに絞りました。
私はフライ、テンカラ、ルアーなどもやりますが、全部の道具を持っていけば当然重くなります。
源流では1gでも軽くしたいので、今回は餌釣りに必要なものだけです。
遡行・安全用品
- 虫よけネット
- 虫よけスプレー
- 熊スプレー
- 8mm・20mのロープ
特にロープは今回、非常に重要でした。詳しくは後述します。
調理用品
- コッヘル
- 炊飯用コッヘル
- OD缶
- 予備OD缶
- コンパクトバーナー
- ナイフ
焚き火でも調理できますが、源流では短時間で熱源が欲しい場面が何度もあります。
そのため、コンパクトバーナーは私にとって必需品です。
食料
- 米4合
- みそ汁4食分
- 塩
- カップラーメン2個
- ブロックタイプの固形栄養食3袋
- 水2L
固形栄養食はカロリーメイトそのものではなく、同じようなタイプの類似品です。
この食料を2泊3日で実際にどれだけ食べ、どれだけ余ったのかは「2泊3日の源流釣りの食料|実際に持った量・食べたもの・余ったもの」で詳しくまとめています。
キャンプ用品など
- ヘッドライト
- 着替え
- ビーチサンダル
- 歯磨き用品
- コンタクト用品
- テント
- エアマット
- シュラフ
- ライター
- 予備ライター
- カッパ
- 常備薬
これらを合計して約11.3kg。
数字だけ見るとものすごく重いわけではありません。
しかし、岩を越え、沢を歩き、ときには滝を越えながら7時間、10時間と背負えば話は別です。
だからこそ、源流釣りの装備では「念のため全部持つ」という考え方はなかなかできません。

今回使った装備の多くは、実は30年ほど前に購入したものです。
当時はアウトドア用品のブランドにも詳しくなく、WILD-1の店員さんに相談して、源流釣りや山で使う道具を一式選んでもらいました。
今あらためて見ると、PRIMUS、ブラックダイヤモンド、イスカ、サーマレスト、アライテント、モンベルなどの製品が残っています。
テントもその頃に購入したアライテントの「エアライズ」です。今回の2泊3日の源流釣行でも使用しました。さすがに補修が必要な部分は出てきましたが、まだ使うつもりです。
30年前の製品なので、現在販売されているエアライズとは仕様が異なる可能性があります。それでも、これだけ長く使えたことを考えると、当時は高く感じた道具も、結果として決して高い買い物ではなかったのかもしれません。→ Amazonで「アライテント エアライズ」を確認する
源流釣りでは1gでも軽くしたい。でも削ってはいけない物がある
源流釣行では軽量化が重要です。
しかし、今回実際に2泊3日行動してみて、
「軽くすればいいというものでもない」
とあらためて感じました。
数百グラム軽くするために外した装備が、現地では数百グラム以上の価値を持つことがあります。
今回、特に持っていかず後悔したのは次の4つです。
- 携帯のこぎり
- コード一体型モバイルバッテリー
- 防水バッグ
- 携帯式蚊取り線香
それぞれ、なぜ必要だったのかを紹介します。
持っていかず後悔したもの① 携帯のこぎり
今回、一番「持ってくればよかった」と感じたものの一つが携帯のこぎりです。
理由は焚き火でした。

私にとって、源流キャンプで焚き火は単なる娯楽ではありません。
イワナなどを焼く調理用具。
暗くなったテン場を照らす照明。
寒いときには暖房。
火を眺めながら過ごすエンターテインメント。
火をいじっていること自体が楽しい遊び道具でもあります。
私の源流キャンプでは、なくてはならない存在です。
源流では乾いた太い薪が簡単には手に入らない
焚き火をするには当然、薪が必要です。
ところが源流では、薪集めが一つの大きな仕事になります。
川の近くに落ちている太い流木は、水を吸って芯まで湿っているものが多くあります。
火の勢いが十分に強くなれば多少湿った木でも燃やせますが、火を起こした直後には役に立ちません。
まず乾いた木が必要です。
ところが乾いている木は、細いものが中心。
細い枝は火を起こすには非常に便利ですが、すぐに燃え尽きます。
釣りからテン場に戻ってきて、夕食を作る前に何度も薪を集めに歩くのはかなりの仕事です。
もたもたしていれば暗くなってしまいます。
そこで欲しくなるのが、太くて乾いた木です。
熾火を作ることが焚き火の神髄
焚き火では熾火が非常に重要です。
しっかりした熾火ができれば、焚き火の管理が一気に楽になります。
多少湿った木でも燃やしやすくなり、火力も安定するため調理もしやすくなります。
さらに太い木でできた熾火は長時間残ります。
条件がよければ、翌朝まで火種が残り、朝の火起こしも楽になります。
私は、
「熾火を作ることが焚き火の神髄」
だと思っています。
その熾火を作るためには、ある程度太い薪が欲しい。
太い木を焚き火で扱える長さにするには、携帯のこぎりが非常に便利です。
斧でもできますが、源流釣行では重量が重要なので、私は携帯性を考えるとのこぎりの方が使いやすいと感じます。
切った木を30cm程度にして、必要に応じてナイフでバトニングすれば、まとまった量の薪を作れます。
今回はのこぎりを外したことで、細い乾いた木を何度も集めることになりました。
次回は携帯のこぎりを装備に戻します。
私が使っているのは、シルキーの「ゴムボーイカーブ 荒目 210mm」です。折りたためるのでザックに入れやすく、切れ味が落ちてきたら刃だけ交換して使い続けられます。

※立ち枯れや倒木を含め、木を切ったり薪として利用したりできるかどうかは場所によってルールが異なります。焚き火そのものが禁止されている場所もあります。必ず現地の管理ルールを確認してください。
持っていかず後悔したもの② コード一体型モバイルバッテリー
2日目の夕方、スマホのバッテリーが切れました。
今回、写真や動画をかなり撮影したからです。
普段よりスマホを使う時間が長かったので、想像以上に早く電池がなくなりました。
だからといって、大容量の重いモバイルバッテリーを持っていきたいわけではありません。
私の場合、3日間ならスマホを1回充電できれば十分です。
また、充電ケーブルを別に持っていけば、その分荷物が増えます。
そこで次回は、
「小型で、スマホ1回分程度を充電でき、コードが本体と一体になったモバイルバッテリー」
を持っていこうと思っています。
源流では、性能を最大化するより、
「必要十分な性能を、できるだけ軽く持つ」
方が私には合っています。
もちろん、スマホのバッテリー性能や撮影量によって必要性は変わります。
何日間も電池が持つ人なら、モバイルバッテリーそのものが不要かもしれません。
持っていかず後悔したもの③ 防水バッグ
これは完全に私の判断ミスでした。
私は普段、ザックの中に防水バッグを入れ、シュラフや着替えなど、絶対に濡らしたくないものを入れています。
源流では、ザックを背負ったまま水に入ったり、場所によっては泳いだりすることもあるからです。
しかし今回は、泳ぐ予定のないルートでした。
そこで、
「今回はいらないだろう」
と考え、少しでも軽くするため防水バッグを外しました。
ところが遡行中、バランスを崩してザックを背負ったまま落水。
ザックの中に入っていたシュラフまで濡れてしまいました。
テン場に着いてから、シュラフを木に干して乾かす羽目になりました。
泳ぐ予定があるかどうかは関係ありませんでした。
源流では、転倒して落水する可能性があります。
今回の経験から、
「シュラフや着替えなど、濡らしたくないものだけでも防水バッグに入れる」
ことにしました。
数百グラムを削るために、寝具を濡らしてしまっては意味がありません。
次回から防水バッグは削りません。
持っていかず後悔したもの④ 携帯式蚊取り線香
今回、かなり蚊がいました。
特に気になったのが、夜の食事が終わり、焚き火をのんびり眺めている時間です。
目の前に飛んでくる蚊なら叩けます。
しかし、見えない背中側を集中して刺されました。
せっかく一日の行動が終わり、焚き火を眺めながらゆっくりしたいのに、蚊が気になって落ち着きません。
遡行中も同じです。
動いているときは、それほど蚊は気になりません。
ところが小休止で立ち止まった途端に寄ってきます。
まるで、
「落ち着いてのんびりしたいタイミングを蚊は狙ってくる」
ようでした。
虫よけスプレーだけでは足りなかった
虫よけスプレーも持っていき、実際かなり役立ちました。
ただ、遡行中は汗をかきます。
そのためか、時間がたつと効果が弱くなったように感じました。
最初は肌が露出している場所を中心にスプレーしていましたが、服の上から刺されることもありました。
そこで服にも広くスプレーするようにしたところ、2日目には1本使い切りました。
かといって、何本も虫よけスプレーを持っていくのは重量的にも容量的にも避けたいところです。
そこで次回持っていこうと思ったのが、腰から下げられる携帯式蚊取り線香です。
行動中も腰につけておけば、小休止のたびに虫よけ対策をやり直す必要がありません。
夜の焚き火時間にも使えます。
虫よけスプレーと携帯式蚊取り線香を使い分ける方が、私の源流釣行には合っていると感じました。
※蚊取り線香も火気です。火気使用禁止の場所や乾燥して火災リスクが高い状況では使用しないなど、現地のルールと状況を優先してください。
重くなっても持っていってよかったもの① ロープ
今回の釣行では、滝を6個越えました。

滝を越えるときにもロープは重要ですが、私が本当に必要だと感じるのは帰りです。
つまり、降りるときです。
人間は意外と登れます。
岩や木などにつかまりながら、上へ上へと体を運べるからです。
しかし下降は難易度が大きく上がります。
壁に体を向けてしがみつくと、今度は足元が見えにくくなるからです。
登れた場所だからといって、安全に降りられるとは限りません。
そこでロープが必要になります。
私は普段、8mm・20mのロープを携帯しています。
今回も、しっかりした支持点を確保したうえで下降する場面で使いました。
私にとって源流釣りのロープは、
「登るための道具」
というより、
「安全に帰ってくるための道具」
という意味合いの方が強いです。
この重量は削りません。
なお、懸垂下降にはロープワーク、支持点の判断、適切な装備など専門的な知識と技術が必要です。この記事を読んだだけで初心者が真似できるものではありません。経験のない方は必ず適切な指導を受けてください。
重くなっても持っていってよかったもの② たも網
たも網というと、
「釣った魚をすくうもの」
というイメージが強いと思います。
もちろんそれも重要ですが、源流の餌釣りでは別の役割もあります。
たも網があれば川虫を効率よく採れる
餌釣りでは当然、餌が必要です。
釣具店で買えるブドウ虫、イクラ、ミミズなど、いろいろな餌があります。
庭で採ったミミズでも釣れます。
ただし、持っていけばその分荷物になります。
また、途中で使い切ることもあれば、何かの拍子に落としてなくしてしまう可能性もあります。
そこで役立つのが現地調達です。
源流や渓流で最も身近なのが川虫です。
私は、川底の石の下流側に網を置き、その上流側の石をひっくり返して採ります。
石の下にいた川虫が流れに乗り、網の中へ入ってきます。
一匹ずつ手で探すこともできますが、網があると効率がまるで違います。
セミやトンボなど、現地で見つけた虫を餌として使う場合にも、網があると捕まえやすくなります。
細い糸で掛けた魚を取り込むためにも重要
私は餌釣りでは細い糸を好んで使います。
私の経験では、細い糸の方が餌を自然に流しやすく、魚の反応も良いと感じるからです。
水の抵抗が小さくなり、軽いオモリも使いやすくなります。
ただし当然、細い糸は太い糸より強度が落ちます。
特に大きな魚が掛かったときは、せっかく掛けた魚を最後に切られて逃す可能性があります。
そこでたも網が役立ちます。
魚を水中ですくってしまえば、糸だけで魚の重量を支えて引き上げる必要がありません。
つまり私にとって、たも網は、
「餌を確保する道具」
であり、
「細糸で掛けた魚を取り込む道具」
でもあります。
1gでも軽くしたい源流釣行ですが、これだけ役割があるなら、多少重くても私は持っていきます。
重くなっても持っていってよかったもの③ 予備OD缶

コンパクトバーナーは、私の源流釣行では欠かせません。
焚き火があれば調理はできます。
しかし行動中や、短時間だけ熱源が欲しいときに、毎回焚き火を起こすわけにはいきません。
だからバーナーが必要です。
そしてバーナーを使う以上、ガス切れは致命的です。
今回も案の定、1本目のOD缶を使い切りました。
もし予備がなければ、
「あとどのくらいガスが残っているだろう」
と心配しながら使うことになります。
それ自体がストレスです。
沢の水を何度も加熱した
荷物の中で特に重いものの一つが水です。
しかし水は生命維持に欠かせません。
3日間に必要な水を最初から全部背負って歩くのは、私には現実的ではありません。
そこで今回も沢の水を利用しました。
そのまま飲むことには不安があるため、私は加熱して使いました。
300ml程度のコッヘルで、3日間に10回以上加熱したと思います。
その分、OD缶も消費します。
朝起きて、沢の水を沸かして白湯にする。
朝もやの中、源流の流れを眺めながら飲む白湯は、なかなか乙なものです。
こういう時間も源流泊の楽しみの一つだと思います。
※沢水は見た目がきれいでも安全とは限りません。水源や周辺環境によってリスクは異なるため、飲用する場合は各自で適切な処理と判断をしてください。
重くなっても持っていってよかったもの④ 固形栄養食
今回持っていったブロックタイプの固形栄養食も役立ちました。
食料が不足したわけではありません。
米やカップラーメンなども十分持っていました。
一番印象に残ったのは、予想していなかった使い方です。
同行した友人がコーヒーを淹れてくれたときのこと。
コーヒーを飲むと、甘いものが欲しくなります。
でも、お菓子なんて持ってきていません。
そこで思い出したのが固形栄養食です。
今回持っていったものは甘いお菓子のような味で、コーヒーと一緒に食べるとちょうどよい。
予定していなかった、源流でのティータイムになりました。
もちろん本来の行動食としても優秀です。
最終日の休憩では、袋を開けてすぐ一口食べられました。
調理不要。
火も水も不要。
短時間で食べられる。
行動時間の長い源流釣行には、やはり便利です。

源流釣りの装備は「必要か」ではなく「重さに見合うか」で考える
今回の2泊3日の源流釣行で、あらためて感じたことがあります。
それは、
「必要そうな物を全部持っていけばいいわけではない」
ということです。
今回の行動時間は、
- 1日目 7時間
- 2日目 10時間
- 3日目 7時間
合計約24時間。
ザックを背負ってこれだけ動けば、100g、200gの差も積み重なります。
だから不要な物は削りたい。
しかし今回、防水バッグを削った結果、シュラフを濡らしました。
のこぎりを削った結果、薪集めに余計な時間と労力がかかりました。
モバイルバッテリーを削った結果、2日目の夕方にスマホが使えなくなりました。
蚊取り線香を削った結果、休憩や焚き火の時間に蚊が大きなストレスになりました。
反対に、
- ロープ
- たも網
- 予備OD缶
- 固形栄養食
は、重量が増えても持っていって正解でした。
源流釣りの持ち物を決めるときに大切なのは、
「これは必要か?」
だけではなく、
「この重さに見合うだけの役割があるか?」
と考えることだと思います。
2泊3日の源流釣りで分かった持ち物まとめ
今回、2泊3日の源流釣行で総重量11.3kgの装備を背負い、約24時間行動しました。
その結果、軽量化は重要ですが、
「削ってはいけない数百グラムがある」
ことを実感しました。
特に今回、次から必ず持っていこうと思ったのは、
- 携帯のこぎり
- コード一体型モバイルバッテリー
- 防水バッグ
- 携帯式蚊取り線香
の4つです。
反対に、
- ロープ
- たも網
- 予備OD缶
- 固形栄養食
は、多少重くなっても持っていって正解でした。
もちろん必要な装備は、ルート、日数、季節、釣り方、経験によって変わります。
今回紹介したのは「誰にでも絶対必要な装備」ではありません。
あくまで、私が実際に2泊3日源流へ入り、失敗も含めて感じた結果です。
源流釣りでは、軽さも安全も快適さも重要です。
全部を持っていくことはできません。
だからこそ、一度の失敗を次の装備選びに生かしていく。
それも源流釣りの楽しさの一つだと思っています。
渓流釣りを始めたばかりの方は、釣り方や仕掛けについてまとめたこちらの記事も参考にしてください。
釣ったイワナを持ち帰って食べる方法はこちらで紹介しています。