このところ自然災害の増加と避難所でのコロナ感染の危険性から災害避難時に車中泊を選択するケースが増えています。
車中泊はプライベート空間の確保という点からも避難所より精神的ストレスが減少する面がありますが、車中の狭さというデメリットもあります。
私たち夫婦は釣りや登山の前泊で毎月2回以上は車中泊をしています。普通の旅行で宿泊代節約のために車中泊することも少なくありません。年間で約30回、15年以上やっているので450回以上の車中泊を経験しています。
その膨大な車中泊の経験の中で、できるだけ快適に車中泊を過ごすためにいろいろな工夫をしてきました。そしていつでも車中泊ができるように常に車に載せてあるものがあります。今回はその中から避難時の車中泊にも間違いなく役立つと考えられるものを紹介します。
ポイントは大きく5点。睡眠、飲食、衣類、清潔、照明。ここを意識すると車中泊が快適に過ごせます。車内に置きっぱなしなので邪魔にならないように収納サイズもこだわっています。
食事と水分補給
食料の確保
食べ物は真夏でも車に入れっぱなしで大丈夫なものを選択しています。1年じゅうずっと入れっぱなしです。また調理や食事の後に洗い物が出ないように考えています。
米
尾西のアルファ米が超優秀です。現在4年以上車に入れっぱなしで保存していますが、食べてみると問題なくおいしいです。多分もっと長く保存できます。気温38度の真夏の車内もクリアしました。お湯だと15分、水でも60分でおいしいご飯になります(お湯の確保の仕方はこの後説明していきます)。スプーン入りでパックのまま食べられ、食器いらず洗い物なしです。
たくさんの種類がありますが私がおいしいと感じるのは白米と山菜おこわです。
デメリットはただ一つ。価格です。一袋一食分で200円~400円します。しかし、緊急用と割り切って10袋くらいはいつも車に入っています。
カレー
この温めずに食べられるカレーも優秀です。そのまま食べて普通においしいです。もちろん温めるとさらにおいしい。野菜が取れることも大きなポイントです。100円ショップで買えるのがすごいですね。5年保存バージョンもあります。
肉
肉はこのスパム系が味と保存を考えて今のところベストと判断しています。長期車内保存可能な肉類としてはもっとも応用が利きます。そのままでも食べられるし、焼くとかなりおいしいです。網でも鉄板でも棒にさしても焼けます。ごはんにもパンにもよく合う。魚肉ソーセージも悪くないですがスパムのほうが味にパンチがきいていて好みです。
温かい汁もの系
温かい汁ものは気分の高揚やリラックスに大きく影響を与えます。災害時にはこれを口に入れるだけでずいぶん気が楽になると思います。
カップヌードルが定番ですね。食事にもなるし種類も多いです。このタイプの食糧のデメリットはかさばることです。だから私は車にいつもあるのは一つか二つですね。リフィルタイプだとかさばりませんが食器の洗い物が必要というデメリットが生じます。
乾物系
乾パン、グラノーラ、ナッツ、カロリーメイトなど乾物も栄養的には十分です。甘いものが欲しくなった時にもいいですね。デメリットは、こればかりだとやはり温かいものを食べたくなるということです。
これらを組み合わせて二人で三日はもつように車に常備しています。普段の車中泊で食べる機会があるのでその都度補給してローテーションしています。
水の確保
成人は一日に3リットルの水の摂取を必要とします。災害が起きてから支援が届くまでを3日と考えて3ℓ×2人×3日で18リットル。2ℓのペットボトル9本をいつも車に入れています。
こんな風にベットにするために倒した2,3列目シートの隙間に収納して普段邪魔にならないようにしています。
加熱器具
上記の飲食物はそのままでも飲み食いできるものが多いですが、熱を加えることでおいしさが増します。そればかりでなく温かいものは心をほっとさせてくれる効果も高いです。
そこで加熱器具があるとよいのですがこれもできるだけかさばらないものを選び抜いています
メインとなるのはこの二つです。右がシングルガスバーナーコッヘルセット、左がアルコールストーブセット(自作)です。これらについて詳しくは動画や別の記事にしてあるので興味があればそちらもご覧ください。
どちらもお湯を沸かすことを目的としています。もちろん調理もできますが洗い物が出てしまうので避難時は好ましくありません。湯沸かしだけなら汚れません。
どちらもコンパクトで簡単にお湯が沸かせて便利です。注意点は燃料のアルコールやガス缶は真夏の高温の車内に置くことが危険であることです。春、秋、冬は問題ありません。15年以上置いていますが事故は一度もありません。
トイレ
飲食とトイレは切り離せません。体に入れれば必ず出ます。そして、トイレは避難時に最もストレスのかかる事項です。必ず準備が必要です。
もし自宅の庭のように土の地面を自由に使える場所ならばタープで囲って個室を作り、穴を掘って埋めるという形をとります。
タープは様々な張り方ができます。もちろん入り口を閉じることもできます。くわしい張り方は別の記事をご覧ください。私は4m×4mのDDハンモックタープ(9,200円)をいつも車に積んであります。
埋められない場所ならば排泄物を袋に入れることになります。その際、犬のフンを処理する袋が今のところベストだと思います。紙とビニールの2重構造、防臭効果や良い香り付き、燃えるゴミに出せたりトイレに流せたり様々な機能が開発されています。使用後に家の中や車の中に置いておいてもにおわないものもあります。100枚くらい入って1,000円程度というコスパを考えてもこれが選択肢になります。犬のトイレシートも合わせれば水分も吸収できます。
タープの中や室内で袋に用を足す場合にバツグンに使えるのがこのチェアです。
こんな風に座面を外して便座として使用できるのです。しかも折りたためるので車内に保管可能。耐荷重も100㎏と十分です。
また、大人用のおむつも検討できます。
照明
電気が止まる可能性が高い災害時に明かりは欠かせません。単に夜間便利なだけでなく、暗くなると心理的な不安も増します。明かりがあるだけで気持ちが強くもてます。
私が車に常備しているのはこの二つです。左がスルーナイトのT10(2,695円)右がドッペルギャンガーのポップアップランタン(1,345円)。
重視している点がいくつかあります。まずは十分な明るさ。そしてコンパクト。
このように両方とも手のひらサイズなのにすっごく明るいです。
次に懐中電灯にもなりランタンにもなるもの。
手に持って歩くこともできるし、置いたりつり下げたりして照明にもできます。後部座席のアシストグリップにS字フックをかけておくと何かと便利です。
そして両方とも単三電池です。ポップアップランタンが3本、スルーナイトはなんと1本です。
充電タイプのライトは便利ですが停電になると充電できません。予算があるなら大容量のモバイルバッテリーを購入しておくという選択肢もありますが数万円はしますし大きくて場所をとります。単三電池なら値段もサイズもたかが知れたもので車内に置きっぱなしにできます。
清潔
冬なら三日お風呂に入らなくても何とかなりますが、夏場はとても不快感が増します。そんな時は体をふくだけで気分がすっきりします。
大量に水が使えなくてもウエットティッシュ系はアルコールやデオドラント効果が入っているので大丈夫です。いろいろなものを試しましたがコスパを考えると赤ちゃんのおしりふきが最高です。
安全、清潔、大きい、多い、安い。体はもちろん食器もテーブルも車も、もちろんおしりもなんでもふけちゃいます。
洋服
下着靴下は2セットを車内に常備しています。そして動きやすくリラックスしやすいジャージトレーナー1セット。避難時に着ていたものと合わせてこれで3日は大丈夫です。
防寒として動きやすさ重視で綿入りウィンドブレーカーの上下を選択しています。関東以南ならこれだけで春夏秋冬対応できます。東北、北海道だとヒートテックとダウンを追加します。
収納場所は座布団カバーに入れてクッションにしてしまえば車内に置きっぱなしで邪魔になりません。ついでにタオルも何かと使うので2枚くらい入れておくといいです。
快適な睡眠のために
快適な睡眠のために意識することは次の4点です。
- 足が伸ばせる広さ。
- 平らな床面。
- 固くない床面。
- 快適な温度。
足が伸ばせる平らな床面
足が伸ばせるフラットな床面を作るには後部をフラットにできる車を選択するのが一番です。運転席や助手席のシートはフラットにはなりません。シートは凹凸があり、寝ているとほんの少しの段差も気になるものです。タオル等で凹凸を埋めることも可能ではありますが手間もかかるし完全な平らにはなりません。
完全な平らになる車種を選んだほうがいいです。私が現在使用している車はウィッシュです。その前はカローラフィールダーに乗っていました。両方とも後部を完全なフラットにできます。
170cmの夫が足を伸ばして寝られます。価格が安くてよく走ります。フィルダーは新車で乗り出し160万円、ウィッシュが7万キロの中古で乗り出し40万円。フィルダーは26万キロ乗りました。ウィッシュが現在12万キロ。2人ならこれで十分です。ワンボックス等の大きな車が買えるならそのほうがいいですけどお高いですよね。
固くない床面
床面にはマットを敷きます。床面が固いと寝ていて体が痛くなるからです。
常に車に乗せておくことを考えると携帯性が大切です。登山用の空気注入型マットが最も携帯性に優れますが、アマゾンで3,000円くらいのこんなマットで十分です。
たたむとこんな手のひらサイズなので車内に置きっぱなしで場所をとりません。ちなみにこのマット、海やプールで浮かべて昼寝ができる防水性の優れものです。
身長154㎝の私が寝るとこんな感じ。隣にもう一人余裕で寝られます。
快適な温度
温度は寒さと暑さの対策が必要です。春や秋の気候がいい時期は基本的に寝袋が一人一つあればOK。
これもアマゾンで2,000円の寝袋で大丈夫です。私はホームセンターの1,000円のものを使っています。
収納を工夫しないと邪魔になるので、普段はこんなクッションにして車内に置いています。
ホームセンターで買った座布団カバーに寝袋を入れておくことでクッションとして車内に邪魔にならず常備できます。
左の二つのクッションの中には洋服やタオルが入っています。洋服の項で詳しく説明していますね。
冬の寒さ対策
冬になると羽毛布団を積んでおきます。車内ならマットと寝袋と羽毛布団と服で外気温0度でも暖かく寝られます。
暑さ対策
いろいろ試した結果、暑さをしのぐには結局クーラーしかありません。窓を開けると虫が入りますし、熱帯夜は窓を開けても涼しくはなりません。町中が停電していてもクーラーを使えるのが車の長所です。もちろん一晩中つけっぱなしである必要はなく、ちょっとつけて車内が冷えたら消します。
もちろん常にガソリンは満タンにしておく必要があります。東日本大震災の時はガソリンスタンドに大行列ができて半日近くならぶことがありました。私はあの時もきちんと満タンだったので一週間以上はスタンドに行かなくても大丈夫で、当然並ぶこともありませんでした。常日頃から意識することが万が一の時に困らなくて済みます。
おまけのアウトドア要素
三日間は避難をすると考えてずっと車の中にいるのはつらいです。中にいるのは寝るときや天候が良くない時でそれ以外は外に出るほうが気分もいいです。その際に野外を快適に過ごせるグッズも常備しています。
チェア、テーブル、タープ、ハンモック、焚き火台、虫よけ、コーヒー(お茶、スープ、お菓子、ようかん)といったものです。すべてコンパクトなものばかり。
まずはくつろげるチェアです。折り畳み式でありながらリラックスできます。右がアマゾンで2,000円程度です。左は有名メーカーヘリノックスのハイバックチェア。27,000円とかなり高価ですが座り心地や携帯性は断トツです。
中央にあるテーブルはホームセンターで2,000円程度です。折り畳み式で高さ調節可能。車内では低く、野外でチェアの時は高く使えます。
イスの向こう側に焚き火台があります。焚き火台まであると避難がキャンプ気分になります。煙は虫よけ効果もありますし、火は煮炊きに使えます。冬なら暖かいですしね。直火は地面を汚すのでキャンパーは嫌いますが、焚き火台なら問題なしでどこでも焚き火ができます。これもA4サイズに折りたためます。
そして、暖かい飲み物やおつまみです。コーヒー、お茶、コーンスープ。コーヒーにはビスケットなど、お茶にはようかんが好みです。飲み物はすべてスティックタイプで一回ごとに使い切り。長期保存可能。お湯は先に示した湯沸かしセット。
日差しや雨を避けるためのタープ。これは設置のための知識が必要ですがそれは別の記事をご覧ください。
夏場は虫よけがあるといいですね。体につけるタイプと空間にきくタイプを両方持っています。
これにハンモックまであると完璧。春や秋などのいい季節なら寝袋とハンモックで屋外で寝ることも可能です。避難とは思えない生活ができますね。ダイソーの500円ハンモックで十分です。私は蚊帳付きのハンモックも持っていますがそれでも3,000円です。
まとめ
以上私が車に常備しているもので災害時の避難にも使えるであろうものを紹介しました。
コンパクトなものを選んでいるので、こんな感じで床下のラゲッジルームに邪魔にならずに収納できます。タープやハンモックはシートの間にはさみ込んでいます。
私たちは娯楽としての車中泊の備えですが、万が一の災害に備えて何か参考になる点があればうれしいです。
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