スイスといえばマッターホルンとそのふもとのツェルマットの街が有名ですが、すぐおとなりのザースフェー(Saas-Fee)の街も4,000m級の山に簡単にアクセスでき、人も多くなくて最高です。
標高4,000mのアルプスで氷河の上を歩くトレッキングがお手軽にできる、花咲き誇る美しき街ザースフェーの旅の情報をお届けします。
氷河トレッキングが簡単にできる
メトロ・アルピン(Metro Alpin)でイッキに3,500mへ
ザースフェーからは22本ものゴンドラやリフトが出ており3,500m地点までイッキに登ることができます。そこまで行くと4,000mをこえる山々や氷河が目の前です。
まずはアルペンエキスプレス(Alpin Express)というゴンドラで標高3,000mのフェルスカンヌ(Felskinn)まで登ります。15分くらいで1,200m高度を上げます。
これがフェルスカンヌの駅。すぐ左側にメトロアルピンの駅が見えます。
フェルスカンヌの駅にあった案内図。ここから標高3,500mのアラリン(Allalin)まで登って景色を堪能します。
そして一度フェルスカンヌに戻りフェルスカンヌからブリタニア(Britannia)、プラッティエン(Plattjen)と氷河越えのトレッキングをする予定です。プラッティエンからはゴンドラでザースフェーに戻ります。
フェルスカンヌで世界で最も高所にあるケーブルカーであるメトロアルピンに乗り継ぎます。
メトロアルピンに乗るにはこんな洞窟の中を進みます。洞窟の中に駅をつくれば豪雪の影響を受けませんね。
メトロアルピンの乗り場も洞窟の中です。5分足らずで500mを駆け上がりイッキに3,500mの世界へ。
到着駅であるミッテルアラリンを出ると目の前にアラリンホルン(Allalinhorn 4,027m)がそびえます。ここからわずか2時間の登山で4,027mの山頂にたどり着けるそうです。
アラリンホルンの隣にはフェー氷河をはさんでアルプフーベル(Alphubel 4,206m)、テーシュホルン(Taschhorn 4,491m)、ドーム(Dom 4,545m)、ナーデルホルン(Nadelhorn 4,327m)と続きます。ドームとナーデルホルンの山頂は雲がかかっていますね。
ドームはスイス国内にある山としては最高峰です。(スイス最高峰4,634mのモンテローザはイタリアとの国境をまたいでいます)
世界最高地点の回転レストラン ミッテルアラリン(Mittel Allalin)
ミッテルアラリンは世界で最も高所にある回転レストランです。この円形の建物がゆっくりと回転して食事をしながら360度の景観を楽しめるようになっています。
中に入ってみるとこんな感じ。席に座っているだけで4,000m級の山々をすべて見ることができます。
ここから4,000mにアタックする方々はさすがに装備がばっちりです。ここからは個人での登山は許されずガイドをつけることが義務付けられています。
ケシエン氷河トレッキングでブリタニア小屋まで
私たちはもう一度ケーブルカーに乗ってフェルスカンヌまで戻り3,000mラインでトレッキングをスタートします。こちらは軽装の方々が多いですね。ここも氷河を渡るんですけどね。
たくさんの方がトレッキングに向かいますが歩き始めるといきなり氷河です。こんなに簡単に氷河トレッキングができるってすごい。
ワンちゃんは歩きたくないのかな?ご主人様が待ってますよ。
ドームの雲も晴れて最高の天気です。4,000m越えの山々をバックにケシエン氷河トレッキング。
頭の上を見ると氷河の断面がおおいかぶさってきています。
前方には3,367mのエッギナー(Egginer)のピーク。あのとがったてっぺんに登っている人もいます。
こんな足場ですが皆さんアイゼンなしで歩いていきます。
小屋が見えてきました中間地点のブリタニア小屋です。小屋の向こうに見えるクラインアラリン(Klein Allalin)の頂上まで登る予定です。頂上に小さく人が見えていますね。
フェルスカンヌから1時間でブリタニア小屋に到着です。皆さんコーヒーやワインでくつろいでいます。写真の右手にアラリン氷河が広がっているんです。
ブリタニア小屋からはアラリン氷河を眼前に見ることができます。
ではクラインアラリンに登ってきましょう。
クラインアラリンからイタリアをのぞむ
15分ほどでクラインアラリンの頂上へ。ブリタニア小屋の向こうに私たちが歩いてきたケシエン氷河をこえてくる人たちが見えます。
ここまで登るとブリタニア小屋からは見えないマトマルク(Mattmark)のダムがきれいに見えます。ダムの向こう側のシュペヒホルン(Spechhorn 3,189m)山頂にイタリア国境があります。あの山の向こうはイタリアなんですね。
シュペヒホルンからマトマルクダム、アラリン氷河まで一望です。
クラインアラリンのピーク。眺めは最高ですが怖くて立てません。
ブリタニア小屋からプラッティエンへ
ここからは帰りのゴンドラに向けて降りていきます。
クラインアラリンのピークから写真左手の雪原を下って写真右手の谷沿いの道に進みます。
その後はこんな雪のない斜面を歩くことになります。ここはザースアルマゲル(SaasAlmagell)の街への分岐点です。
岩壁にザースフェーへの案内が書いてありますが、この崖の右側は800mほどイッキに落ちています。
メチャクチャ怖い。ロープを持つ手も足も震えます。
足元800m下にザースアルマゲルの街が米粒のように見えます。
難所を越えてしまえば眺めも天気も最高のトレッキングです。
こんなガレ場もこえていきます。
ここは最高の休憩ポイントですね。ザースフェーとザースアルマゲルの街両方を見下ろせます。昼寝している人がメッチャ気持ちよさそう。
やっとプラッティエンのゴンドラ乗り場にたどり着きました。ブリタニア小屋から2時間かかりましたね。雪原を下るのにけっこう時間がかかりました(途中で飽きて滑り降りたんですけど)。フェルスカンヌからだと合計3時間半のトレッキングでした。
ゴンドラであっという間にザースフェーの街が近づきます。もちろん歩いて帰ることもできますが、選択肢がたくさん用意されているのが便利でいいですね。
ザースフェーのタウン情報
ザースフェーはスイス国内では最高峰となるドーム(4,545m)をはじめとした4,000m級の山々に囲まれたスイス南部の美しい街です。
すぐおとなりに有名なマッターホルンやそのふもとのツェルマットがあるので観光客はそちらに集まります。ザースフェーはツェルマット同様に素晴らしいアルプスリゾートでありながら混雑がなく優雅な時間を過ごすことができます。
通りに面したほとんどの建物には手入れの行き届いた花が飾られています。
まさにこれぞスイスアルプスというホテルが建ちならびます。画になりますねえ。
民家の小庭も素敵です。左端にあるのは電気自動車。この街はツェルマット同様にガソリン車を禁止しており、透き通ったアルプスの空気が維持されています。
ウィンドウフラワーボックス、オープンテラス、パラソル、アルプスの山とそろったこちらのカフェの雰囲気も最高ですね。
街のスポーツ施設の目の前まで氷河が迫ります。ザースフェーは一年中スノースポーツが可能でスイスのスノーボードの中心地的な存在です。日本のスノーボードのナショナルチームも利用しています。
朝6時のザースフェーの街。街にはまだ日が届きませんが4,000m越えの山々の稜線にはすでに太陽の光が注いでいます。
東を見るとまだ太陽は山の向こう側。まばゆい光だけが尾根から突き出ています。
ところで現地の人の発音を聞いているとザースフィーともサースフェーとも聞こえます。インターネットのサイトでも様々な日本語表記がありますが、この記事ではザースフェーでいこうと思います。
今回利用したホテル
今回私たちが利用したバーグナーホテル(HOTEL BURGENER)を紹介します。ザースフェーの中心部、メインストリートに面していてどこへ行くにもアクセスがとてもいいホテルです。
こんなウッドデッキのテラスレストランがついた山小屋風のホテルです。
私たちもチェックインしてすぐにビールをいただいちゃいました。
室内にあるバーも暖炉を囲んだ山小屋風です。
部屋でベッドに寝そべると、なんと窓から4,545mのドームと氷河が見えるんです。
朝食もこんなにおしゃれ。これで2名一部屋朝食付き一泊9,000円でした。
登山をする方には常識ですが山はどこでもお昼ごろにはガスがかかり始めます。よい景色を見るためには午前中、できれば朝早いほうが条件がいいです。早いときは10時くらいにはガスがかかってしまうので。そのためにはここザースフェーの街に宿泊するのがおすすめとなります。
ザースフェーへのアクセス
私たちはチューリッヒ空港からスイスに入ったのでチューリッヒからザースフェーへのアクセスルートを紹介します。
スイスは鉄道が充実しているのでメインの交通手段は鉄道です。空港からチューリッヒ中央駅まで鉄道で10分程度です。
チューリッヒ中央駅からフィスプ(Visp)まで高速鉄道を利用して2時間半です。
車内はこんな感じ。日本の新幹線みたいでとても快適です。自由席なので見晴らしのいい2階に座りました。
首都ベルン(Bern)を経由してシュピーツ(Spiez)まで2時間。
スイスらしい車窓を楽しみます。
2時間半でフィスプに到着です。フィスプはマッターホルンのあるツェルマットとザースフェーの分岐点です。ここからバスでザースフェーに向かいます。
バスはこんな景色の中を進みます。
40分ほどでザースフェーに到着です。チューリッヒからは3時間半くらいですね。
バスターミナルからすでに氷河の先端が見えています。
スイストラベルパス
私たちはこの旅で一週間以上スイスに滞在してスイス中を移動しました。この記事のザースフェーはその中の一部です。
このようにスイス国内でたくさん移動するならスイストラベルパスを購入しておくとコスパがいいです。
スイストラベルパスはスイス国内の鉄道、バス、フェリーなどほとんどが乗り放題です。博物館美術館も無料。今回のように山岳交通を利用する場合は半額で購入できます。
使用日数や座席の等級によっていくつかパターンがあるので自分の旅程にあったチケットを購入するといいです。私は500ユーロくらいのチケットを使いました。ちょっとお高めですが十分に元は取れました。
駅の窓口などで購入できますが、私は日本で出発前にネットから購入して持っていきました。中学生レベルの英語なので現地で間違えずに買う自信がなかったです。現地のサイトもつかえますし、日本国内にも代理で購入してくれる会社があります。
私が購入させていただいたサイトはマックスビスタトラベルさんです。高額になるので安心できる会社がいいですね。こちらは日本の会社なので困ったことなく確実に購入利用ができました。
ザースフェーの旅のまとめ
スイスは観光立国ということで中学生レベルの英語しかできない私でも困ることなく快適に国中を旅できます。治安も大変よく全く心配することはありません。
デメリットを上げるとちょっと物価が高いかなと思います。でもそのデメリットをこえる体験をすることができると思います。
記事を読んでいただいてありがとうございました。世界各国の田舎ばかり旅している私の経験が少しでもお役に立てば幸いです。
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